毒蛇咬傷(マムシ)

 日本に生息する毒蛇の内、当地に生息しているのはマムシとヤマカガシです。ほとんどの毒蛇咬傷は、上顎の先端に鋭い2本の毒牙を持つマムシによるものであり、本種はヒトや動物の接近によって攻撃的になり、咬みつきます(図1,図2)。通常、ヤマカガシは奥歯に毒を持ち、攻撃的な性質ではないので、無理をして捕獲しようとしない限り咬傷による被害は起きないとされています(図3)。

20100908毒蛇咬傷(マムシ) (2)20100908毒蛇咬傷(マムシ) (3)20100908毒蛇咬傷(マムシ) (7)
(図1.マムシの頭部と口腔内の毒牙)

2013-09-09 06.47.5020100908毒蛇咬傷(マムシ) (8)20100908毒蛇咬傷(マムシ) (1)
(図2.マムシの体色。本種には、いくつかのバリエーションがある)


2012-11-16 14.13.12
(図3.ヤマカガシ。一見すると、色のケバケバしいアオダイショウの様にも見える。本種がヒトを咬む場合、普通は前歯で軽く咬むだけなので症状が現れない事が多く、結果として、長い間、本種は毒蛇ではないと考えられていた)

 マムシは本来だと夜行性のヘビなので、咬傷事故がよく起きるのは夜間や曇天の時です。このヘビは、水田や河川などの水場の近くや山林に生息している事になっておりますが、こうした場所から比較的離れているはずの民家の庭などでも咬傷事故が発生する事があります。
 「ヘビに咬まれた」場合、咬まれたヘビの種が分かっていた方が迅速な診断と治療が可能になるので、実物の死体を持参するか、写真や動画を持ち込んでいただくと、有力な手がかりを得る事が出来ます。ただし、毒蛇はヒトに対しても危険な事のある生き物なので、決して無理をしないでください。

 マムシによる咬傷は夜間に発生する傾向があるので、ヘビの種類を確認する事が出来ない場合や、人知れず毒蛇に咬まれていたイヌやネコが(通常はイヌ)、後になって見つかる事があります。

 マムシによる咬傷は、患者の状態から、ある程度なら推測する事が可能です。
1. 1センチ程度の等間隔な牙痕(通常は2つ)
2. 咬傷部の出血や周囲組織の腫脹、壊死(図4,図5)。
3. 血液検査(マムシの毒素は出血毒に分類されるので、血小板数の減少などが観察される)

20100910 01120100911 00420100918 003
(図4.マムシ咬傷の例。イヌの場合、典型的には、マムシは近付いて来た鼻部を咬む事が多い。毒素の注入により、牙痕から少し離れた部位が腫脹を始める。この患者は、腫脹によって呼吸の障害が顕著になったので抗毒素血清を使用した。処置後、患者の臨床症状は急速に快方に向かったが、牙痕があったと考えられる鼻部には壊死領域が残った)


2012-09-08 17.36.362014-04-18 10.23.552014-07-05 10.54.42
(図5.マムシ咬傷の例。いずれの症例も、鼻部を咬まれた後、鼻部~頸部にかけて腫脹が認められる)

 マムシに咬まれた場合、患者の死亡は稀ですが、治癒までの期間には数週間程度は必要になります。早期の抗毒素血清の使用は治癒までの期間を短縮しますが、この製品は非常に高価なので、通常は対症療法のみを行います。
プロフィール

わたらい先生

Author:わたらい先生
ま、いいじゃないか(^^;

リンク
カテゴリ
月別アーカイブ
アクセスカウンター
検索フォーム
QRコード
QR