爪傷ないし咬傷

 英語で、特に鷹同士のケンカの事を“Crabbing”と言います(1)。この英単語は一般に“カニ漁”、つまり、モリで突いた傷の事を表しているので、鉤爪による爪傷の俗称が転じた表現であった事が分かります。

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(図1.猛禽同士のケンカ傷は目立たず、トリ達もヒトの見ていない所でしか異常を表していないかもしれない)

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(図2.羽毛を掻き分ける事でようやく見つかる小さな傷。全身麻酔下で確認すると、この脇腹の傷は左脚全体の機能不全の原因となる程の深く広い範囲を侵している事が判明した)

 猛禽類によって作られた傷は、小さな傷に見えたとしても、内臓奥深くまで到達する不衛生な傷です。鷹同士がケンカをしたのではないかという疑いがもたれた場合、たとえ傷が発見出来なかったとしても、安心してしまってはいけません。こういう事は、 “起きたもの”として、その様に治療は進められていくべきです。

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(図3.左;隣接する猛禽によって右脚を負傷したハリスホーク。この傷は、表面上は治癒した後も再燃を繰り返した。右;訓練中に他の猛禽に攻撃されたオオタカ。一見浅い傷に見えるが、治癒には数ヶ月を要した)


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(図4.他の猛禽に補食されそうになったトビ。一見したところ羽毛が失われただけの様に見えるが、自然界への復帰には数週間を要した)


11013602_462829263865734_853709100233051831_n.jpg20101127安楽死適応 (1)
(図5.隣接する猛禽に補食されたハリスホーク。猛禽類が作った傷は、小さな傷であっても重篤な事がある。それと分かる傷であればあるほど、その内容は重篤であって当然である。この症例には安楽死が適応された)

特記事項
傷が発見出来なくても、投薬は行うべきです
他の猛禽類との闘争の場合だけでなく、猟期の間にカラスを捕殺させていた猛禽類にも、この注意は適応されます。

参考文献
1) N.A.Forbes, First Aid and Emergency Care of Falconry Birds, The World of Falconry, July 2013
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ま、いいじゃないか(^^;

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