烏口骨の骨折

 烏口骨は、前肢帯を構成する3つの骨の内の一つであり、哺乳類では見られない鳥類独自の骨です。

ハヤブサ
(図1.烏口骨骨折の見つかったハヤブサ。右翼の下垂と触診による烏口骨のある部位でのクリック音が明らかである)

 
 この骨の骨折は、野鳥が建物に衝突した時などに、おそらく片側性に発生します。烏口骨骨折は、骨幹部分で生じる事は稀で、胸骨との関節面での剥離や、打撲による周辺の軟部組織を巻き込んだ骨膜反応として見つかる事が普通です。

3D-CT
(図2.猛禽類は飛翔の為の適応として骨が軽量化しており、骨量の少ない薄い骨をしているので、正常なハヤブサの烏口骨は3D-CTで完全な骨格の形状が観察されない(a)。烏口骨に損傷のあったハヤブサの場合、骨増生によって骨密度が増加しているので、骨の形状が全て確認出来る(b))

 この骨折には、受傷後速やかに外科的な整復を行うべきであるという考えと、保存的に治療を行い、鎮痛処置と包帯固定のないケージレストを行うべきという考えが存在します。野鳥で行われた外科的修復と保存的治療の比較調査の結果があるので(1)、現在では、余程の事がない限り外科処置は行わず、保存的な治療と安静によって経過を観察する様にしております。外科手術は、容認出来ない数の術中術後の死亡の原因となるからです。

特記事項
通常のレントゲン検査と触診で十分に診断可能な異常です。翼を下げているトリが居たら、動物病院を受診して獣医師の診断を仰ぎましょう。
治癒後、飛翔の様子が完全には回復しない事があります。

参考文献
1) Francis T. Scheelings, Coracoid Fractures in Wild Birds: A Comparison of Surgical Repair Versus Conservative Treatment, Journal of Avian Medicine and Surgery 28(4):304-308., 2014
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わたらい先生

Author:わたらい先生
ま、いいじゃないか(^^;

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