卵塞

 猛禽類はあまり卵を産まない鳥種なので、産卵に関連するトラブルに遭遇する事は稀です。

20160303170257c41.jpg
(図1.猛禽類は、体格に対して過大に見える卵であっても産卵出来る事の多い鳥種である。ただし、肥満鳥や、カルシウムやビタミンDの摂取状況に不備のあるトリ達では、難産になる事がある。このハリスホークには、十分なカルシウムの動員が起きている証拠である骨髄骨が観察されないので、低カルシウム状態による難産が起きていると考えられる)

 
 本来なら、猛禽類は体格に対して過大に見える卵を、普段から産卵している事のある鳥種なので、卵塞(卵が詰まること)は、稀な出来事です。

 産卵時や産卵の直前になると、雌鳥達の血中カルシウム値は上昇し、このカルシウムは卵殻の形成や卵管子宮部の収縮に利用されます。しかし、肥満鳥や、そもそもカルシウムの摂取量やビタミンDが不足していたトリ達では、このカルシウムの動員が上手く行われないので、“難産”になる事があります。

20160303170256148.jpg
(図2.フライングウェイト(飛行体重)を維持している、図1と同種の猛禽類の雌のレントゲン像である。この状態ならば、嗉嚢(そのう)や前胃の内容物は正常な範囲内で移動する。気嚢の拡張状態の違いにも注目)

 鳥類の体腔内の容積は哺乳類の様な可変性に乏しいので、卵管の膨化や卵胞の発達により、体腔内が狭くなっている時に前胃内に生じたペリットは、(特に肥満鳥では)安全に吐き出されなくなる事があります。同様に、産卵直前の雌鳥は、前胃内に存在する食餌が下流に向かって順調に流れて行かなくなる事があります。

 特に肥満のある雌鳥達の体内に卵が出来た場合、そのトリは体内の食餌が停滞する傾向がより強くなるので、緊急性の高い事故である酸敗そのう(敗血症)が、起きやすくなります。

20160303170259051.jpg
(図3.体腔内の圧迫を解除する目的で、卵を除去した。同時に、酸敗嗉嚢(そのう)を来しているトリならば、嗉嚢(そのう)切開術も必要になるだろう)


特記事項
全く使役を行っていない、屋内飼育のインプリント鳥で発生しやすいトラブルです。
繁殖期には、親鳥達に十分な日光浴を行い、カルシウムを摂らせます。
雌鳥を太らせ過ぎない様にします。冬季の間中、屋外で飛翔を行っていたトリ達には、この様なトラブルの発生は少ないはずです。
酸敗嗉嚢(そのう)を予防する為に、食餌は少量を1日に何回にも分けて与えます。予防的に投薬を行っておく事も可能です。

プロフィール

わたらい先生

Author:わたらい先生
ま、いいじゃないか(^^;

リンク
カテゴリ
月別アーカイブ
アクセスカウンター
検索フォーム
QRコード
QR