中毒(重金属中毒)

 一般の飼い鳥、つまり、インコ・オウム類では重金毒中毒の主体は亜鉛中毒に移っておりますが、猛禽類の重金属中毒とは、鉛中毒の事です。

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(図1.カルガモの体表から取り除いた鉛弾。着弾後、鉛弾は衝撃で変形しつつ直進しながら周辺組織を激しく損傷するので、殺傷能力が高いと言われている)

 
 鳥類の鉛中毒とは、全て、鉛の経口摂取によって発生する鉛中毒を言います。
 よくある間違いになりますが、被弾した鳥類が、筋肉内に残存した鉛弾によって鉛中毒になる事はありません。そのトリ達を獲物として食べてしまった猛禽類が、肉ごと鉛を飲み込んで鉛中毒になります。鉛は、胃酸によって溶解され、鉛塩となって体内に分布します。鉛中毒の症状は、鉛を摂取した直後から現れる事もあれば、飢餓など、体内に貯蔵された鉛が血中に放出された時に発生する事もあります。
 本症の有名な症状には、貧血や神経症状があります。元気の無い、尻餅をついた姿勢(犬座姿勢)をしている猛禽を見つけたら、それは本症の患者かもしれません(1)。

カルガモカルガモ(被弾)
(図2.一見したところ異常の無い肉塊に見えたとしても、その獲物には体内に鉛が存在する。衝撃で変形した鉛弾は細かく飛び散ってしまい、肉眼で確認出来るとは限らない)

 鉛中毒の予防という観点から言えば、あらゆる猟果を、猛禽類に飼料として提供するべきではありません。この猟果とは、散弾銃で射殺した鹿の肉や水鳥、網猟やわな猟、鷹狩りで得た獲物を含みます。仮に、その獲物が銃猟の出来ない地域で捕獲されたとしても、その獲物自身は、銃猟が出来る地域から出来ない地域に逃げ込んできた獲物である可能性があるからです。

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(図3.獲物の解体中に見つかった鉛弾。これらを猛禽類に提供した場合、鉛中毒が発生したかもしれない)

 鉛中毒がよく起きるのは、明らかに大型の猛禽類なのであって、通常飼養されているサイズのトリ達では、殆ど見かける事がありません。この疾病は珍しいはずなのですが、鷹狩りを行う猛禽類飼育者にとって、常に潜在的な脅威であり続けています。

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(図4.猟果を飼料として与えられ続けているハリスホークの鉛中毒検査結果。本邦において、商業ベースでこの検査を引き受けてくれる検査所は、特に鳥類の検体という事になった場合、事実上存在しない)

特記事項
鉛中毒の検査は、行っておりません。そのトリが死んでもおかしくない血液量が必要になるからです。
トリ達に一切の野生動物を与えない事によって、鉛中毒は予防可能です。ただし、大型の猛禽類を除いてしまえば、鉛中毒の猛禽類の患者との遭遇は、極めて稀な事であるはずです。

参考文献
1) エイビアン・メディスン, p183-p185, インターズー, 2003



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ま、いいじゃないか(^^;

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