排泄物の変化

 猛禽類に限らず、鳥類の排泄物は総排泄口からひとまとめにして排泄される様になっており、その構成成分は、糞便、尿酸、尿から成ります。

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(図1.正常な猛禽類の排泄物。この鳥種は、糞便が他の成分に比べてくっきりと視認出来る事が多い。ハヤブサ類とフクロウ類以外は、排泄物を真下に落とさずに水平方向に向かって飛ばすので、その飛翔距離自体が健康の指標となる。ペットシーツを使用しているので、尿成分は吸収されてしまっている。左の糞便と比較して右の糞便が白っぽいのは、骨(カルシウム)を多く含む食餌を摂ったからである)
 
 猛禽類は、使役の為に絶食を体験させる事のある鳥種なので、緑便によく遭遇します。この排泄物の変化は、食餌を途絶える事なく与えているトリ達では(例えば、インコ・オウム類では)、もしも見つかる事があったならば明らかな異常事態ですが、故意に消化管内を空にしているトリ達では、正常な生理的現象です

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(図2.絶食により腸管に内容物が無い場合、排泄されるのは胆汁色素のみになるので、その外観は緑色になる(1)。写真は、給水後に排泄を行わせているので、その外観は、“wet droppings(尿の多い排泄物/多尿便)”であり、“green staining droppings(緑便)”でもある。本当の疾病時の緑便と比べると、尿酸の色が白く感じるかもしれない)

 緑便は疾病状態にある患者でよく見かける症状であり、しかも、似た様な外観の排泄物が他の理由によっても作られる事があります。

緑便

(図3.鳥類の胆汁色素は、ビリベルジンの形で存在する。ビリベルジンは、空回腸で再吸収されて肝臓で再利用されている(腸肝循環)。肝障害によってビリベルジンの利用能が衰えると、糞便中へのビリベルジンの排泄が増す。つまり、肝臓疾患があると、糞便中の色素により、尿や尿酸は緑色に染まる(Green-stained urates(緑色をした尿酸)/Green droppings(緑便))(2)

 図2と図3では、英語表記を併記しています。排泄物の異常を説明している文献は数多く存在しますが、その名称は英語の邦訳であり、全体に英語の記載の方が実態に近い細かい表現がしてあるのですが、(両者は一見異なる様にも見えますが)それらを日本語に変換すると、全て“緑便”として扱われます。(例えば、絶食便と緑便という様な)本邦独自の分類と表現も存在するのですが、全体に混乱が広がる原因にも成っているので、当院では元々の英語表記寄りの表現を使う様に心がけています

 排泄物の異常は、その背後にある問題を知るキッカケに過ぎないので、もしも、図1ないし図2にあるタイプ以外の排泄物を見つける事があれば、それらを排泄したトリ達には、さらなる検査が必要です
 排泄物に、明らかな異常、あるいは自信の無い変化を見つけた時には、動物病院に実際の排泄物か写真を持参して(場合によってはトリも一緒に連れてきて)獣医師の診断を仰ぐ事をお勧め致します

特記事項
排泄物の状態に自信が無い時は、糞便サンプルを持参するかトリ達を連れて、動物病院を受診しましょう。
使役の期間中に、1日の間に腸管内が空になる時間帯があるトリ達は、よく緑便をします。これは異常な事ではないのですが、実際の疾病状態にある患鳥達と区別する事が出来ない事があります。自身の無い飼い主の方達には、アスペルギルス症などの予防的投薬を行う事を推奨しているので、ご相談ください。薬の処方には診察が必要です。

参考文献
1)小嶋篤志, 第1回 鳥類臨床セミナー 鳥類臨床の実践 2, 2014
2)Raptors, Pigeons and Passerine Birds, p54, BSAVA, 2008
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ま、いいじゃないか(^^;

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