吐出と嘔吐

 この2つの用語は、鳥類と哺乳類では異なる使い方をします。
 鳥類医学では、その吐物が口や食道(嗉嚢(そのう))から吐き出された場合を吐出、胃や腸から吐き出された場合を嘔吐と呼びます(1)。
 これらは、疾病名ではなく症状の呼び名です。原因は多岐に渡り、吐き出されてしまえば問題の無いケースから、症状が現れた事自体が深刻である場合まで、様々です。違和感を覚える吐物を見つける事があったら、速やかな来院と検査をお勧めしております

吐物(肉片)
(図1.中毒による嘔吐の際に吐き出された肉片。当該個体が、いつもこういったモノを吐き出す個体なのかどうかでも、評価が異なっただろう)

 

吐き出されたウズラ
(図2.丁寧な解体を行わないで、与えられたウズラを丸ごと飲み込んだオオタカは、翌日になって、骨の付いたままの肉片を多数吐出した)

 

ペリットペリット
(図3.ペリットの異常。左;正常。形が整えられ、十分に圧縮されており、表面の水分は失われている。右;圧縮が不十分で水分にまみれたペレット。なんらかの体内の異常を示唆している)

 

チョウゲンボウノスリ
(図4.正常なペリット。十分な圧縮がされており、表面の水分が失われた、異臭のしないペリットならば、それは正常範囲の排出である)



11日前に与えた成分が含まれているペリット2日目に排出されたペリット
(図5.異常なペリット。
左;圧縮の様子は十分だが、ペリット中の骨片には胃酸による異常な焼けが認められる。吐き出されるまでの胃内滞留時間が、長すぎた証拠である。この成分は11日前に与えられていた。右;圧縮されていない巨大なペリット。排出までの期間中に投薬が行われていなければ、酸敗嗉嚢(そのう)等のトラブルを発生させただろう)


 

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(図6.摂食嚥下障害のあったハリスホーク。強制給餌によって生存させていた期間中、6~24時間後に吐出や嘔吐がよく観察された。吐出や嘔吐のあるトリ達には、クチバシや周囲の羽毛、あるいは頭部の羽毛に汚れが認められる)

 

嗉嚢部の陥凹(腐敗臭のある息と吐出動作あり)
(図7.胃部に不快感のある猛禽類には、鎖骨の辺りにくぼみが見られる事がある(矢印)。普段、こういった変化の見られないトリのならば、念のため来院しておいた方が無難だろう)


特記事項
興奮性の強い体格のある雌のインプリント鳥ほど餌を丸飲みする傾向が強いので、吐物に関連した異常がよく見つかります。普段から注意している必要があります。
カエルを生食させると、刺激性があるので吐出が起きる事がありますが、治療の対象にはしておりません。

参考文献
1) 鳥類の内科学と外科学, NEW LLL PUBLISHER, p427, 2008

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わたらい先生

Author:わたらい先生
ま、いいじゃないか(^^;

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