装具の交換

 猛禽類の繋留飼育に用いられる足革は、アイルメリ方式が主流です。
 この装具は、猛禽の脚に固定するパーツをアンクレット、ハトメから挿入し比較的高頻度に交換するパーツをジェスと言います。

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(図1. アンクレットとジェス。合わせて(あるいは、どちらも)足革と呼びます。本来の用途は、飼育用具と言うよりも、飛翔や鷹狩りを行う際に猛禽類をコントロールし易くする為の、調教用の装具です)

 
 足革の素材は皮革に偏っており、時間の経過と共に変化します。
 つまり、皮革というのは“縮んで硬くなる”素材なので、定期的な交換が必要になります。
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(図2. “お取り替え時”のジェス。伸展性が失われ、硬くねじれている。絡みつくと危険な状態)

 写真の様な状態にあるジェスは、すぐに交換するべきです。
 いつ千切れるかも分からないので既に繋留の用を為さない上に、仮に絡みついた場合、強力に脚部や趾部(足の指)を損傷する危険があります。

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(図3. 時間の経過したアンクレットによるトラブル。一見正常に見えても、異常は水面下で進んでいる)

 ジェスの変化はすぐにソレと分かるのですが、分かり難いのはアンクレットの変化です。一見、問題無く使えている様に見えてしまいますが、そんな事はありません。

 皮革というのは、年月の経過と共に“縮んで硬くなる”素材です。脚部に巻かれている皮革が縮んで硬くなるという事は、“硬いモノで締め付ける”事に成るので、その場所は絞扼や皮膚炎を生じ、ケースによっては不可逆的な脚部の損傷と障害を発生させます(図3)。図の様な状況が発生する為には、一般に2年以上アンクレットの交換が行われていないのが普通です。

 アンクレットの交換は1年に1~2度、ジェスについては1~3ヵ月毎の交換が、適切な交換回数です。運動量の大きな猛禽類や、大型の雌のトリ達については、さらに交換頻度が増える事があります。

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(図4. 時間の経過したアンクレットによる絞扼は、足環による絞扼と同等の致命的な状況を発生させ得るので、足根中足骨の骨折が疑われる場合には、速やかに足革ないし足環を切断しておかなければならない)

 アンクレットの装着部位に骨折が存在する場合、腫脹によって速やかに致命的なうっ血と組織の壊死が進行してしまうので、(時間が惜しいので)来院の前に飼い主の手でアンクレットの切断をしておくくらいが望ましい。通常、アンクレットはハサミで容易に切断可能です(足環の場合は、金属製ないしプラスチック製なので、切断は難しい。可及的速やかな来院が推奨される)

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(図5. 正しいハトメの位置)

 アンクレットの交換の際は、ハトメの位置に注意します。
 これは金属疲労を避ける為の処置なので、間違えていたとしてもアンクレットの交換の頻度が増えるだけで、実害はありません。
 運動量の大きな猛禽類や、大型の雌のトリ達の足革を交換する時に、覚えておくと良い知識です。

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(図6. 正しいジェスの挿入方向)

 ジェスの挿入の向きは重要です。
 間違えると、繋留された猛禽が混乱し、(からみ易くなるなど)事故の原因に成る場合があります。

 この挿入方向は、鷹を“投げる”為の方向なので、繋留のみを目的にしていた場合、逆向きに挿入する事も出来ます(この場合、ハトメの向きも逆です)。
 いずれにせよ、トリ達にはそういう繋留に“慣れて”もらう必要があるので、いつも同じ挿入を行う様に心がけます。

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(図7. からまり易い装具の例。左;新しい足革。右;ジェスの挿入方向の間違い)

 新しい装具は、そもそも硬くからまり易いので、交換後は飼い主が注意して観察している必要があります。
 グリースを塗る事で、いくらかなら軟らかさを与え使い易さを維持する事が可能です。
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(図8. ロープジェス)

 最近は、皮革製のジェスではなく、ロープジェスを使用しているケースも増えております。
 このタイプのジェスは、からまり難い、丈夫である(交換の頻度が少ない)という特徴がありますが、一旦からまると脚部や趾部への破壊力はむしろ強力なので、やはり、交換後しばらくは“注意して観察をする”という事が重要になります。
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ま、いいじゃないか(^^;

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