用語解説 ヘキサミタ症

 コクロソマ同様、他の鞭毛虫類との混同がある原虫に、ヘキサミタがあります。
 この原虫の分類上の位置付けは、ディプロモナス目ヘキサミタ科ヘキサミタ亜科ヘキサミタ属となっており、この原虫は哺乳類や魚類からも見つかっていますが、鳥類で見つかるのは、Hexamita columbae (ハト)および H. meleagridis Spironucleus meleagridis と同種、各種鳥類)になります(Wikipedia調べ)。

 世間で言う“オカメインコのヘキサミタ症”というのは、このH. meleagridis S. meleagridis )の事になるのですが、現在の分類では“以前のH. meleagridis”と記載されている種なので、正しく“ヘキサミタ”という呼称で呼んでいいとは言えないのが、この原虫の正体です。

 文献を調べていくと“スピロヌクレウス症”という表記も少数見つかりますが(2)、学問の世界でも“ヘキサミタ”である事を断っている文献ばかりなので、両方の名称が混在する状況は、まだしばらく続きそうです。
 分類学上の位置というのは、いつの間にか勝手に差し換えられその都度種名が変わる種が現れるので、こういう混乱は仕方がない事なのですが、臨床家にとっては正直煩わしいだけのイベントです(いつの間にか元に戻る事さえあります)。
 とりあえず、現在の分類上の位置付けは、ディプロモナス目ヘキサミタ科ヘキサミタ亜科スピロヌクレウス属が正解になるらしいのですが、おそらく、獣医師でも答えられない先生がかなり現れる事が予想されます。
 
 この寄生虫の感染が有名なのはオカメインコで、その寄生率は70-86%にも成ると言われていますが(1)、色々な鳥種(シチメンチョウ、コウライキジ、イワシャコ、ウズラ、アヒル、キンショウジョウインコ(2)など)から見つかっている(病原性を発揮する)原虫なので、オカメインコに選択性がある種というわけではありません
 S. meleagridis には七面鳥六毛虫の和名があるのですが(3)、小動物臨床の世界ではあまり用いられない様です。

参考文献
1) Levy MG , Powers LV, Gore KC, Marr HS., Spironucleus meleagridis, an enteric diplomonad protozoan of cockatiels (Nymphicus hollandicus): preliminary molecular characterization and association with clinical disease., Vet Parasitol. 2015 Mar 15;208(3-4):169-73. doi: 10.1016/j.vetpar.2014.12.028. Epub 2015 Jan 3.
2) Philbey AW , Andrew PL, Gestier AW, Reece RL, Arzey KE, Spironucleosis in Australian king parrots (Alisterus scapularis)., Aust Vet J. 2002 Mar;80(3):154-60.
3) 新版 家畜寄生虫病学, 朝倉書店, 1984

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ま、いいじゃないか(^^;

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