用語解説 green seed

 異表記に、“ripe seed”、“milk seed”、“fresh seeding grass”などがあります。つまり、“青い種子”です。“まだ青い種子”の方が、分かり易いでしょうか?

2015-08-04 13.22.20

 そもそもフィンチというのは多様な鳥種から成るのですが、日本人が“フィンチ”と言われて思い浮かべるのは、文鳥や十姉妹に限られます。スズメを入れる人もいるでしょう。コキンチョウやキンカチョウと言われて、どういうトリの事か思い浮かべる事が出来る方は、どの程度居るのでしょうか?
 欧米で人気のある“フィンチ”には日本で見かけない鳥種がかなり存在しているので、姿形が似ていても、繁殖に関連した栄養学的知見に異なる考え方が混入する事について理解しておく事に、意味があります。

 日本で、文鳥に繁殖をさせるとしたら、親鳥達に粟玉を与えるという事をしますが、欧米で行われているフィンチの繁殖には、“green seed”というモノを与える場合がある事が紹介されています。
 この食餌は、通常の種子よりもリジン(必須アミノ酸の一つ)の含量の多い、高たんぱく質な食餌として機能します(1,2)。

 Foreign Finchと呼ばれる暖かい地域以南の南半球のフィンチでは、雨季の後、この“green seed”が手に入る時期に一致して繁殖が行われるので、この飼料は、食餌を変化させる事によってトリ達を繁殖行動に誘導したい場合に有効な飼料の一つとして紹介されます。
 例えば文鳥の様に、温帯地域のフィンチは光周期の変化によって発情が始まるので、栄養状態に注意してさえいれば、食餌によるスイッチが無くとも(そのシーズンの到来を待ってさえいれば)発情がやって来るトリ達というのもおります。

 Foreign Finchと呼ばれるトリ達には厳格な定義がある訳ではなく、オーストラリアのフィンチ(Australian Finch)を別に分けて扱っている場合があるので、どの程度の範囲のトリ達の繁殖に“green seed”が与えられなければならないのか、ハッキリとは言えません。
 おそらくコキンチョウやキンカチョウの繁殖の際に、欧米では“green seed”が与えられているのだという理解で問題無いと思いますが(これらは“Australian Finch”です)、本邦での実際の繁殖の記録を探しても、こうした給餌は行われていません。

 具体的な写真等の情報が少ないので推測の域を出ませんが、いわゆる雑穀(カナリーシード、アワ、ヒエ、キビ)の、“まだ青い種子”を、採取してくるか冷凍保存しておいて与える事を“green seedを与える”と言う様です。
 これは、“青菜”というのが青い色をした葉物であれば、どういう種類の植物の事でもいいのだけれど、傾向として小松菜やチンゲンサイ、大根の葉などの、特定の植物を指している事が多いというのと同じです。具体的な名称を上げる事が出来ない、よく分からない種子も与えられている場合があると考えられます。

 調べられている範囲では、“green seed”には、“乾燥種子”に比べてリジンの含有量が多い事が分かっています(1,2)。
 乾燥種子というのは、通常私達がイメージする市販されている種子の事で、そのまま飼料として与える場合もあれば、発芽させて栽培を行う事にも使います。完熟種子という言い方もされます。
 “完熟”というのは十分に熟れた事を言い、対象は実でも種子でもいいのですが、種子を話題にしていれば通常ソレは既に乾燥している種子を指していると思うのが日本人的には常識になりますが、“green seed”の異表記には“ripe seed(ripening seed)完熟種子)”があるので、これは栄養価を評価した場合こちらの方が高いのだから当然と言えば当然なのですが、知識がなければ“間違いだ”と思ってもおかしくない表記になるので、注意しなければなりません。
 同様に、“milk seed”は、種子の皮を剥いた時にその様な色をしているからだとも、(“海のミルク”と言えば牡蛎(カキ)の事ですが)ミルクの様に栄養価の高い種子だからだとも解釈出来る表記である事が理解出来ます。

 こうした誤解の背景には、植物の種子の熟度の評価は一様ではないという農業関連の話題があるのですが、専門的になる上に雑穀のソレらについては情報不足なので、ここでは割愛します。

 “green seed”が入手出来ない場合、エッグフードや(食べるなら)昆虫の給餌が行われるので、この食餌はフィンチの繁殖に必須という訳ではありません。ただし、こうした鳥種の繁殖についてよりよく理解する為に、“green seed”について知っておく事は必要になるでしょう。

参考文献
1)AllanLRand Green 10(1997) The importance of green seed in the nutrition of the Zebra Finch. Australian Journal of Ecology 22,44, 412-418
2)BSAVA Manual of Raptors, Pigeons and Passerine Birds, BSAVA, 2008
3)Gouldian Finches eating green seed heads. YouTubeにアップロードされていた“green seed”給餌の様子(↓)。意外に、写真も動画も見つかりません。このフィンチはコキンチョウです。


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ま、いいじゃないか(^^;

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