用語解説 ソフトビル(softbill)

 対義語的に、“ハードビル(hardbill)”というのもあります。“bill”というのは本来クチバシの事ですが、“丈夫なクチバシ”と“軟らかいクチバシ”をしたトリ達がそれぞれいる・・・という事ではありません
 
 この名称は、英語圏の鳥類の飼育書やあるいは市販されている飼料の中で、見かける事のある名称です。
 多くは、フィンチ・カナリアと区別する為に、“ソフトビル(のトリ達)”という様な言い方をします。繰り返しになりますが、“軟らかいクチバシをしたトリ達”という意味ではありません

 こういった名称は、古くからその様に言われてきた伝統によるモノなので、何故“bill”というのか、その理由について明言されている説明を見つける事が出来ません。“とにかく、その様に呼ぶのだ”という名称です。
 
 こうした名称は、トリ達の食性に応じて昔の人達が便宜上トリ達を分けてきた分類で、何ら学問上の根拠が存在しません。ハードビルとは、固い殻のある穀物を剥いて食べるトリ達の事であり、ソフトビルとは、それ以外の軟らかい食餌を食べるトリ達全てに与えられる名称です。
 特に理由があってという事ではない様ですが、慣例的に、このグループ分けからは、猛禽類とインコ・オウム類、ペンギンと家禽は外されている事が普通です。
 英国では、ハードビルと言えばフィンチ・カナリアの事であり、ソフトビルとは果実食/蜜食/昆虫食のスズメ目のトリ達の事を言うそうです(1)。つまり、本邦ならばメジロやウグイスが“ソフトビル”という事です。

 前提となる定義がハッキリしない場合、“ソフトビル”にはカワセミやカラス、ハチクイやハチドリ、キツツキ、アオバトなど、穀物の殻を剥いて食べない多種多様な鳥種を割り振る事が出来るので、英国の事例の様に条件を限定的に扱ってくれている場合でなければ、その情報は理解出来ない事があります。つまり、「ソフトビルには雑食のトリが多い」という事が書かれていたとしても、そのカテゴリーに定義されている鳥種が違えば、意味の無い情報に成ってしまうという事です。

 場合によっては、“ソフトビル”にキュウカンチョウやオオハシ、サイチョウが含まれて扱われている場合があるのは、上述の理由に拠ります。
 よくテキストを確認しないと、キュウカンチョウの栄養学とウグイスの栄養学が同じになってしまうので、注意しなければなりません。

参考文献
1)BSAVA Manual of Raptors, Pigeons and Passerine Birds, BSAVA, 2008

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ま、いいじゃないか(^^;

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