用語解説 thiaminase

 チアミナーゼ。
 魚病ではサイアミナーゼとしている文献がありますが、現在ではチアミナーゼの方が一般に浸透しています。以前のアノイリナーゼ
 おそらく、一般の飼い主で、この名称を目にした事がある人達が最も多いのは、爬虫類の飼育をしている方達ではなかったかと存じます。
 
 この酵素は、はじめは、淡水魚の体内に死後発生する事が報告されました。 この酵素は、チアミン(ビタミンB1)を分解するので、これらを生食した個体にチアミン欠乏症(ビタミンB1欠乏症)を発生させます。

 当時は、夏季に捕獲したフナやコイなど冷凍して他の時期に与えるという事をしていたので、特にカメ類にこういう疾病があり得るので注意せよという事が、言われておりました(千石正一著『爬虫両生類飼育図鑑―カメ・トカゲ・イモリ・カエルの飼い方』より)。
 当時あった情報としての誤りは、“フナやコイ(金魚も)を与えてはならない”というモノでした。この誤情報は、“鮮度の高い魚類ならば問題無い”という正しい情報が広まるまでの間、年単位の期間“信用”されていました。
 当初は淡水魚の給餌について報告されていましたが、この疾病は海水魚を飼料として給餌した場合でも発生します。

 魚食性の鳥類でも、長期間冷凍庫内で保存した魚類を給餌する事により、同様の症例が発生する事が言われており、猛禽類ならばミサゴやウオクイフクロウ、オオワシやオジロワシで発生が懸念されます。ただし、むしろ有名なのは、ペンギンやカワウ、サギ類への魚類の給餌であると考えられます。いずれにせよ、“食べさせ続けたら異常が出る事がある”のは、全ての生き物について共通です。

 チアミナーザによる被害は、この成分を含んでいるワラビを生食する可能性のある動物種についても知られており、ウサギ放牧牛ヒツジなどについても報告されています(ワラビ中毒)。この場合は、時間の経過した魚類の死骸を生食する事によって起きるのではなく、新鮮であっても生で食べさえすれば問題が発生します。この疾病は、ワラビ以外でもゼンマイやスギナでも発生が懸念されます。

 チアミナーゼは熱で分解されますが、生で食べる可能性のある生き物には危険な食品が多数存在します。
 予防策として(とくに魚食性の生物について)、ビタミンB1の供与が言われていますが、コレは“条件付き必須栄養素”と言われるモノであって、本来なら、新鮮な魚介類を与えられている生き物について、チアミナーゼは飼料中に含まれないので不要になります。そもそも、危険のある食餌を与えないというのも方法です。
 条件付き必須栄養素特定の条件下でのみ必要になる栄養素なので、むしろ“必要でない状況”を維持出来る飼育方法を確立する方が、飼育として正しいとする考え方もあります。

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ま、いいじゃないか(^^;

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