10年前に・・・

Journal of Avian Medicine and Surgery 28(4):304-308. 2014
doi: http://dx.doi.org/10.1647/2013-038

Coracoid Fractures in Wild Birds: A Comparison of Surgical Repair Versus Conservative Treatment
野鳥における烏口骨骨折:外科的修復と保存的治療の比較

Francis T. Scheelings, BVSc, MVSC, MANZCVSc (Aust Wildl Med), Dipl ECZM
From the Australian Wildlife Health Centre, Healesville Sanctuary, Healesville, VIC 3777, Australia.

要約

 ヒルズビルサンクチュアリのオーストラリア野生動物保健センター(訳注;Australian Wildlife Health Centre。有名な施設の様ですが、定まった邦訳はありません)に入院した野鳥の医療記録から、片側性の烏口骨骨折の治療成績(転帰)について調べました。13種から成る、47羽のトリ達が、調査対象に該当しました。この内、18羽は保存的に治療され、鎮痛処置と包帯固定のないケージレストが行われました。29羽には外科的な骨折の整復処置が施されました。保存的に治療したトリ達の89%(16/18)が放野されましたが、外科的に治療したトリ達は34%(10/29)しか放野されておりませんでした。両処置群において、放野率には有意差がありました(P < .001)。手術時の創傷による術中死が、外科的処置を施されたトリ達が放野出来なかった主な理由でした。外科的処置には高い危険性が伴い、保存的治療には高い成功率が見込まれるので、鳥類の烏口骨の負傷時には、外科処置を実施しないケージレストが賢明な判断であると考えられます。

Keywords: trauma, coracoid, surgery, cage rest, rehabilitation, release, avian

2015年3月3日訳
わたらい
 
CT撮影アンクレット装着

 2005年~2006年頃にかけて、僕は野鳥の烏口骨骨折の症例に興味を持って、その治療方法を模索していました。当時の名残は、病院HPで今でも閲覧可能です。
 3D-CTを使用して、この部位のトラブルを立体的に把握する事や、その予後(片側、両側等による治療成績)について知りたい。外科的整復の有用性・・・という様な事をやって、地方獣医師会で、一部発表までしている。当時、元は放射線出身の某大学病院院長に鼻で笑われたりしましたが、10年遅れで、こんな仕事が英語で出るんですねえ。
“見る目がなかったのは、どこのどいつだ!”
 ・・・と、言いたい(^^;

 実際のところ、手術にはリスクがあって、“患者を選ぶ”ので、汎用性がありません。手術せざるを得ない損傷であれば、術中死を覚悟でいじるか安楽死を選択するのが、この場所のトラブルとの付き合いです。
 生存を優先するだけならばケージレストは無難な選択肢ですが、生存後の後遺症(飛翔が出来ない、食物の嚥下障害が現れるなど)、放野はおろか飼育にも問題のある異常の発生が予想される場合は、安楽死を適応します。
 10年も経って、こんな文献が出て来る様になったんですねえ。

ウミネコ右前肢帯負傷部位ハヤブサ烏口骨

(ケージレストによって安定化させた、ウミネコ、ハヤブサの烏口骨(共に右側)。3D-CTによる画像)

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ま、いいじゃないか(^^;

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