用語解説 脂質プロファイル

 “プロファイル”というのは“プロフィール”の事でもあるし、ひと頃刑事ドラマで流行した“プロファイリング”というのも、同じく“profile”という英単語から来ています。横顔とか輪郭という訳が当てられますが、格好良く言えば“概要”という事になります。
 
 つまり、脂質プロファイルというのは、患者の脂質データのあらまし、概要を言ったモノです。その内訳は、総コレステロール値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、中性脂肪値から成り、数字のみからでは分かり難いので、電気泳動の波形パターンによって表す事もあります。メニュー表示的に、脂質パネル(つまり、“一覧”)という言い方もされます。
 以下は、実際に行われた検査の一部紹介です。

 当院で飼育している、産卵を行っている雌のウズラから採血を行い、生化学検査によってた数値です。

総コレステロール=178(mg/dL)
中性脂肪=740(mg/dL)
HDL=59.1(mg/dL)
non HDL=178-59.1=118.9(mg/dL)
動脈硬化指数=118.9/59.1=2.01

 本来、計算(F式)によってLDLを算出するべきところですが、中性脂肪の値が400以上あるので、正確な数値を求める事が出来ません。この場合、参考値としてnon HDLを算出し、動脈硬化指数などと合わせて評価します。
 特にヒトの方の考え方では、non HDLがソレナリの高値であったり、危険な可能性のある数値以下であったとしても、HDLが低値であれば、LDLが問題を起こす危険がある(潜在的に、相対的な“高値”にある)事を気にする場合があります。あくまで“LDLが・・・”というのが基本的な考えなのですが、ここで登場するのが、LipoTESTによる脂質プロファイルの解析結果です。

スクリーンショット 2014-11-11 11.14.31

 本症例においては、潜在的に相対的高値である可能性のあったLDLは殆ど検知されず、総コレステロール値のかなりを占めていたのが、本来であればあまり問題になってこないVLDLにあった事が判明しました。産卵によって、生成されたLDLは体外に排出され続けているので、アテローム性動脈硬化症の危険は少ない状態にある様です。
 同時に、産卵の上手く行えていないトリが居たとしたら、LDLが上昇する可能性が示唆され、危険な状況が発生しうる可能性がある事も、分かってまいりました。

 こうした検査は、鳥類ではまだまだ黎明期にある分野なので、ヒトの知見の外挿を利用しつつ、鳥類独自の背景について、様々な方法によって理解を深めていく事が必要です。

 大事な前提が一つあります。
 ここでは、同一サンプルを2つの検査に出し、それぞれを比較しています。その前提条件とは、“0.1ml程度のサンプル量があれば可能な検査”である事です。患者は、小型鳥類である事が少なくないので、実施可能な検査には限界があります。他にも色々な検査が存在しますが、検査項目が増えれば増えるほど、実現不可能な検査になってしまいます。ここで言う“脂質プロファイル”とは、セキセイインコが対象であっても、実施可能な検査です。

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ま、いいじゃないか(^^;

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