用語解説 アテローム性動脈硬化症

 アテローム性動脈硬化症の説明は、肝リピドーシス(脂肪肝)とよく似ています。“肝リピドーシス(脂肪肝)”も参照してください。どちらも、脂質異常症(高脂血症)にまつわる用語です。
 
 アテローム性動脈硬化症(atherosclerosis)とは、ギリシャ語のathere(“粥”)、skleros(“硬い”)から来ている言葉で、粥状(じゅくじょう)動脈硬化症とも言います。つまり、この言葉は、血管内が粥の様に見える事と(ただし、西洋の粥です)、硬くなる事を説明した、昔のヒト達の造語であったという事ですね。ちょうど“ツナ”が“マグロ”でもある様に、“アテローム性”と“粥状”は、同じモノを異なる表記で表しているだけという事になります。
 アテローム性動脈硬化症は、動脈硬化症(arteriosclerosis)とも表されますが、こちらは、arteria(“動脈”)が硬くなるという事を説明している用語で、いずれも、血管の変性を説明する為の言葉が病名に使われております。

 本症の発生には、“カゴの鳥”である事、つまり、ヒトと同様に運動不足とエネルギーの摂り過ぎ(特にLDLコレステロールの摂取)が原因である事が言われているので、問題を早期に発見し、食餌の改善や運動の奨励によって予防に励む事が、推奨されています。ただし、この事は背景の一部なのであって、特筆すべき点は、本症は“雌のペットのインコ・オウム類が、特に危険なのだ”という事にあります。

 雌の、特にハンドレアードのトリ達は、ヒトに対して性的な刷り込みのある“インプリント鳥”達なので、性成熟後、毎年、ヒトに対して持続的な発情を示します。この時の行動は、正常な繁殖鳥達がそうである様な、シーズンの開始時に示され、その後の抱卵と育雛へと続いて行く・・・という一連の行動ではありません。パートナーである所の“ヒト”は、トリに対して、決して正常な行動で応じ、次の行動を促してあげる事は、出来ないのです。
 結果として、トリ達の性的欲求不満は月余に渡って継続し、それらは、行動学的には“異常行動”とも呼ばれる種々の問題行動となって、観察されます。この期間中、雌鳥達の体内では、本来ならば正常な産卵と抱卵そして育雛という過程の中で、すぐに別のエネルギー代謝へと切り替わるべき過程が、切り替わる事なくひたすら継続している(発情行動が続いている)という事が起きています。具体的には、エストロゲンの放出と、ソレによって生じるカルシウムやアルブミンそして脂質の動員(すなわち、卵黄前駆物質群=この時期に観察される高コレステロール血症他の理由)が、そうです。
 1シーズン程度で異常が出る様に成る事は無いのですが、これを年余に渡って繰り返していくと、毎年、本来ならその動物種が経験する必要のない、高濃度の脂質への暴露を長期間繰り返す事に成りますので、血管は変性し、“アテローム性動脈硬化症”が生じ易くなります。大型鳥では、臨床症状を現すのに15~25年程度の期間が必要になるそうですが、本邦では小型鳥の飼育が多いので、もっと早くに、この疾病に遭遇する事になる様です。
 本症の予防策として、従来、食餌の改善と運動の奨励という事が言われてきましたが、“行動修正”に関する言及があるのが、最近の流行の様です。

 猛禽類については、巣立ち後の幼鳥に過量な給餌を続けると本症が発生する系統が存在するそうですが、本来、若いトリ達の病気ではありません。

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ま、いいじゃないか(^^;

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